福岡高裁宮崎支部が大崎事件の再審請求について決定
事件の背景
44 年前、鹿児島県大崎町で男性が遺体で見つかり、殺人などの罪で服役した女性が再審=裁判のやり直しを求めている「大崎事件」。5 日に福岡高裁宮崎支部が再審を認めるかどうか決定を出します。
弁護団と検察の対立
昭和 54 年に義理の弟を殺害したとして、原口アヤ子さんが殺人などの罪に問われました。懲役 10 年が確保して服役を終え、現在 95 歳ですが、一貫して無実を訴えています。再審請求は4 回目となります。最大の特徴はこれまでに3回も再審が認められてきたということです。地裁で2 回、高裁で1 回、再審開始決定が出ましたが、いずれも検察の抗告を受けて取り消される異例の経過をたどっています。
再審における争点
殺害されたとされる男性は、最初、道路わきの側溝に転落しているのが見つかったのですが、弁護団は「転落した際のケガが原因だった可能性が高い」とする救急救命医の鑑定などを提出しています。つまり事故だったというものです。これに対し検察は「新たな鑑定は遺体を直接見ておらず、写真の限定的な情報を元にしている」などと主張していて、これが争点の1つです。
再審制度の法改正議論も
日弁連・日本弁護士連合会は、証拠が後になって出てくるケースが相次いでいることなどから再審請求の証拠開示など法改正を求めています。大崎事件で再審が認められれば、制度の見直し議論が一層強まってくることが予想されます。
Editorial : 再審請求のあり方を考える
再審請求の際には、証拠開示が適切に行われる必要があると考えられます。特に、袴田巌さんのように、警察で保管されていた証拠が後から明らかになるケースが相次いでいることから、再審請求時に証拠開示するよう求める声が高まっています。
また、再審請求が異例の回数になる事件については、制度の見直しについても考える必要があると言えます。再審制度は冤罪事件の是正に貢献する重要な制度であるため、適正な手続きを確保することが求められます。
Advice : 冤罪を未然に防ぐために
再審制度は冤罪事件の是正につながる重要な制度です。ただし、再審請求をすることで被告人側が単に無罪を証明しなければならないという訴訟負担が大きくなってしまうことも指摘されています。このため、自己負担を抑えるためにも、冤罪を未然に防ぐための取り組みが必要になります。
具体的には、警察や検察の捜査に対する監視や、司法制度の運用について、国民がより積極的に関与することが求められます。
<< photo by Patrick Fore >>