「103 万の壁」も「130 万の壁」も、収入が増えれば関係ない?
扶養が“不要”になる時給ライン:時給相場の壁 2023 公開
主婦・主夫層の仕事と家庭の両立を希望する実情や本音を探る調査機関「しゅふJOB総研」が、2023 年に行った調査結果である『「時給相場の壁」2023』を公開しました。この調査は、主婦・主夫層の方々が希望する時給に基づいた扶養外し希望指数を探るものです。
調査結果概要
- 「時給相場の壁」一覧/扶養外し希望指数 2023
- 時給ライン「1,500 円以上」で6 割、「2,000 円以上」で9 割超が扶養を外す
- 扶養枠を外す時給ライン:2023 年と2021 年比較
- 「時給相場の壁 2023」について
主婦・主夫層の意識に関する調査結果
しゅふJOB総研によると、主婦・主夫層に対して行った2023 年 7 月の調査によれば、時給換算でいくらの仕事であれば、扶養枠を外して働くことを選ぶか尋ねると、回答者の63.4%が1,000 円未満から1,500 円以上までの間で回答し、回答者の91.9%が2,000 円以上までの間で回答しました。つまり、時給が1,500 円以上であれば、6 割以上の人が扶養枠を外して働くことを選び、2,000 円以上となれば、9 割以上がその選択をします。2023 年と2021 年を比較すると、1,500 円以上で扶養を外す人の比率が57.5%から63.4%に上昇しており、1,500 円以上なら扶養を外す人が増えている傾向が見られます。
多くの主婦・主夫層は短時間・短日数の仕事を選択していますが、パートタイマーの場合、時給が抑えられがちです。しかし、主婦・主夫層には様々なキャリアを持つ人々がいます。たとえば、一日 8 時間で月 20 日働く場合、年間の勤務時間は1,920 時間になります。時給 2,000 円で計算すると、年収は384 万円になります。主婦・主夫層の中には、これよりも高い年収を得ていた経験を持つ人たちも多くいます。彼らのスキル、能力、経験に見合った報酬を得られる仕事を短時間・短日数で見つけることができれば、扶養枠を外して働きたいと考える人も増えることでしょう。したがって、短時間・短日数でも付加価値の高い仕事を増やし、時給相場を上げることで、扶養枠を外して働きたいと望む人々の選択肢を増やすことが重要です。『時給相場の壁 2023』は、そのための参考指標として役立つでしょう。
扶養を外したくなる時給の重要性に焦点を当てるべき
これまで、「103 万の壁」や「130 万の壁」といった制度上の壁に注目が集まっていましたが、主婦・主夫層が扶養を外し働きたくなるための下限を示す「時給相場の壁」にも焦点を当てるべきだと考えます。収入が増えることは、扶養枠を外したいという人々にとって大きな意味を持ちます。そのため、雇用主や広告業者など、採用企業や求人広告を扱う事業者は、「時給相場の壁」を参考にすることで、扶養を外し働きたい人々のために適切な求人を提供することができるでしょう。
結論
主婦・主夫層が働きながら家庭を両立させるためには、適切な報酬と働き方が必要です。時給が増えれば、扶養枠を外すことへの意欲も高まるでしょう。したがって、雇用者や政策立案者は、主婦・主夫層の働き方に配慮し、時給相場を上げるなどの措置を講じることが重要です。また、主婦・主夫層自身も、自分のスキルや経験に応じた仕事を見つける努力を怠らず、自己啓発に取り組むことが必要です。これらの努力が重なることで、主婦・主夫層の働き方がより多様化し、社会全体の活性化につながるでしょう。
<< photo by Aleksandr Firstov >>
この画像は説明のためのもので、実際の状況を正確に描写していません。