2023 年ノーベル化学賞:量子ドット研究者に授与
量子ドット技術の革新的な発見と実用化への貢献
スウェーデン王立科学アカデミーは、2023 年のノーベル化学賞を、量子ドット技術の発見と実用化に寄与した研究者に授与すると発表しました。量子ドット技術は、ディスプレイの広色域化だけでなく、医療の分野においても腫瘍組織の切除の際の目印としても活用されています。
受賞者には、米マサチューセッツ工科大学のモウンジ・バウェンディ氏、米コロンビア大学のルイス・ブルース氏、米ナノクリスタルズテクノロジー社のアレクセイ・エキモフ氏の3 名が選ばれました。
量子ドット:光の波長が結晶サイズで異なる
量子ドットは、数ナノサイズの半導体微粒子を集めて作った結晶のことです。結晶のサイズの違いによって、発光する光の波長が変化するという特性を持っています。この存在は物理学者たちの間で長年予想されていましたが、実証は難しいとされていました。
1980 年代初頭にエキモフ氏がガラス材料での量子ドットの存在を実証し、数年後にはブルース氏が液体中での量子ドットを証明しました。そして1993 年にはバウェンディ氏が高品質な量子ドットの製造方法を開発し、実用化につなげました。
ディスプレイへの応用とその利点
量子ドット技術は、オーディオビジュアル分野において主にテレビやタブレットなどのディスプレイの広色域化に利用されています。一般的なカラーフィルターで色を付けるよりも、量子ドット技術を使用することで変換効率が向上し、より純度の高い色が表示できるとされています。
国内では、ソニーが2013 年に量子ドット(Color IQ)を採用したテレビを発売しましたが、当初は材料の問題から採用が進んでいませんでした。しかし、その後材料開発が進み、発光効率や信頼性、量産性が向上しました。2019 年頃からは海外メーカーも量子ドット技術を採用し始め、今や国内メーカーのほとんどのハイエンド液晶テレビで使用されています。また、昨年にはサムスンが量子ドットを用いた有機 ELパネル「QD-OLED」を開発し、ソニーやシャープもQD-OLEDの製品を発売しています。
量子ドット技術の将来性
量子ドット技術は将来的には、フレキシブルエレクトロニクスや小型センサー、薄型太陽電池、暗号化された量子通訊などの分野に貢献できると期待されています。特にシャープでは、量子ドットでRGB 画素を形成した次世代の自発光ディスプレイ技術の開発を進めています。
エディトリアルとアドバイス
量子ドット技術のノーベル化学賞受賞は、その革新的な発見と実用化への貢献が高く評価されたものです。この技術の進歩により、我々の日常生活におけるディスプレイ体験が大幅に向上しました。さらに、将来的には新たな産業分野の発展にも寄与することが期待されています。
量子ドット技術は、ディスプレイ以外の分野でも幅広い応用が可能です。この分野への関心も高まっており、各企業が研究開発を進めています。しかしながら、技術の進歩に伴い、安全性や環境への配慮も重要です。材料開発においては、環境負荷の低減やリサイクル性の向上にも取り組むべきです。
また、量子ドット技術の将来性についても注目が必要です。ブルーオーシャンに進出するためには、新たな応用領域の開拓や産学連携の強化が求められます。日本の企業は、この分野においてグローバルな競争力を持つために、積極的な戦略を検討するべきです。
<< photo by M.Emin BİLİR >>
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