映画『沈黙の艦隊』中村倫也の存在は監督にとっての心のよりどころ？ プロデューサーの役割も明らかに

『沈黙の艦隊』中村倫也は監督の心のよりどころ プロデューサーが語るキャスティング秘話

満を持して実写映画化される『沈黙の艦隊』

2023 年に実写映画化されたかわぐちかいじの傑作漫画『沈黙の艦隊』が、話題の若手監督吉野耕平の手によって映画として再構築されました。この作品は、日米が極秘に建造した原子力潜水艦で反乱を起こし、独立国「やまと」を建国する物語です。プロデューサーの松橋真三は、敏腕プロデューサーとして知られ、『銀魂』や『キングダム』、『ゴールデンカムイ』などの超話題作を手掛けてきました。

松橋プロデューサーは、この作品を吉野監督に託す一方で、キーとなるオリジナルキャラクターに中村倫也を起用しました。松橋プロデューサーは、中村倫也へのキャスティングの理由と意図について語りました。

吉野耕平と中村倫也

吉野耕平監督は、大ヒット映画『君の名は。』でCGクリエイターとして参加し、『水曜日が消えた』で長編映画監督デビューを果たしました。その後、2022 年には『ハケンアニメ！』という作品を手掛け、賞賛されました。本作『沈黙の艦隊』は、大作エンターテイメントとして吉野監督にとって初の挑戦となります。

松橋プロデューサーは、「『ハケンアニメ！』は、人間ドラマとSFアクションアニメが1つの作品の中で融合しているというバランス感覚が素晴らしかった。人間ドラマとCGの潜水艦アクションを面白く見せるという意味では、今回の『沈黙の艦隊』とアプローチが通じると感じました。次世代を担う優秀な監督とは積極的に共同作業をしたかったので、早いうちに吉野監督とつながっておかないと、他の人に取られてしまうと思いました」と語りました。

中村倫也のキャスティング

『沈黙の艦隊』では、中村倫也が物語のキーとなる潜水隊員・入江を演じます。松橋プロデューサーは中村倫也を起用する理由について、「入江は、少ない登場シーンでも観客に愛され感情移入される存在でなければならなかった。撮影期間が短い中で、吉野監督の演出の狙いを的確に理解し、芝居ができる俳優を起用したかった」と述べました。

さらに松橋プロデューサーは、「中村さんは監督の心のよりどころになっていたと思います。監督の中にある設計図とプランは非常にしっかりしていましたが、監督自身は前に出るタイプではありません。吉野監督の傍には、気心の知れた手練れの役者さんがいてほしいと思い、それは中村倫也さんしかいないと感じました。吉野監督はシャイな方なので、実際の現場では声も小さく、助監督が声を張り上げてフォローする必要がありました。中村さんの存在は、吉野監督に安心感を与えるものだったと思います」と語りました。

信頼された監督との共同作業

松橋プロデューサーは、吉野監督の能力を高く評価しています。吉野監督は他の俳優たちからも信頼され、現場での意見交換が活発に行われたと述べています。松橋プロデューサーは、「監督は穏やかな方なので、みなさん相談しやすかったと思います。的確な意見や質問にも答えることができました。吉野監督は、準備段階でコンテをきっちり書き上げてくださる方でした。スタッフ間でのイメージ共有が明確であり、撮影の進行もスムーズでした」と話しました。

松橋プロデューサーは、完成した作品を観て吉野監督への信頼がさらに高まったと述べています。各潜水艦のパートや政治パートなど、撮影はバラバラに行われていたために全体像が見えなかったそうですが、CGや音響、音楽が組み合わさった映像を見て、出来栄えに皆が驚きました。「特にユースケ（・サンタマリア／ソナーマン南波役）さんは『監督、天才じゃん！』と大興奮されていました。吉野監督は本当に類まれな監督だと思います」との満足そうな言葉もありました。

『沈黙の艦隊』は、吉野監督や中村倫也をはじめとするキャスト・スタッフの努力の結晶であり、完成した作品にプロデューサーは大きな自信を持っています。