第1ステージで起きてしまった事故の経緯 – ツール・ド・北海道2023 ツール・ド・北海道2023 第1ステージの事故原因と経緯

ツール・ド・北海道 2023：レース中断と交通規制の解説

第 1ステージ：事故が起きるまでの経緯

ツール・ド・北海道第 1ステージは、旭川市から新得町までの174kmのレースでした。午前 9 時 30 分に旭川市総合防災センターをパレードスタートし、3kmほど進んだ後にリアルスタートが切られました。

序盤の平坦区間では、アタック合戦が繰り広げられ、レースの流れはなかなか定まりませんでした。30kmを過ぎても逃げが容認されず、集団がまとまらない状況が続いていました。

大きな動きは、57km 地点に設定された最初の山岳賞ポイントで起きました。金子宗平（東京大学）が単独先行して山岳賞ポイントを透過し、留目夕陽（EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム）が続きました。この動きによって後方の集団は分裂し、金子と留目は後続との差を広げて先行しました。

69.8km 地点の十勝岳に設定された2 回目の山岳賞ポイントでも金子と留目が先頭を透過し、その後ろには4 名の第 2 集団、さらに20 名ほどの第 3 集団が続いていました。しかし、事故はその下りの区間で発生しました。

午前 11 時 30 分過ぎ、73km 地点付近の右へ回り込むカーブで第 4 集団の選手が対向車線の自動車と正面衝突しました。別の選手もそれを避けようとして転倒しました。自動車と衝突した選手は意識不明の重体で病院に搬送されました。

この事故を受けて、レースは96km 地点で中断され、以降のレースはキャンセルとなりました。第 2、第 3ステージもキャンセルとなり、中断時点での順位でリザルトが出されることになりました。

ツール・ド・北海道独自の交通規制方法

ツール・ド・北海道では、レースに使用する片側車線のみを規制し、対向車線は一般通行可能とする条件で、北海道警察から道路使用許可を得ています。対向車線を透過する車やバイクに対しては、レースの佇列に先行して走るエスコートバイクが注意喚起を行い、減速や停止を求めています。また、事前の監督会議でも、警察から選手たちに対し左側通行を厳守するように通達がありました。

片側車線規制区間では、リアルスタート直後の数 km、フィニッシュ直前、山岳賞やホットスポットが設定された地点の前後、補給地点前後などに1kmほどの距離で規制が行われ、道幅の狭い区間では全面規制が行われます。

事故が起きた地点も片側規制の区間でしたが、高松泰副委員長は、NHKの取材で「対向車線の侵入を一応規制させていただいた区間での事故」と語り、事故当時は両車線の規制が行われていたと述べています。

片側規制はツール・ド・北海道独自の運営方法であり、数少ないラインレースを開催するために使用されてきました。自治体や沿道の住民の理解を得るためにこの方法が取られてきましたが、今回の事故はツール・ド・北海道史上初めての出来事です。事故を重く受け止め、安全対策について検証し、今後に生かす必要があるとされています。

一方で、大会関係者の中には「以前は対向車が端に寄って止まるか減速してくれることが多かったが、最近は減速すらしない対向車が多くなったと感じる」という声もあります。ツール・ド・北海道は地元でも親しまれてきた大会ですが、レースを取り巻く環境が変化してきているように感じられ、運営方法の再考が必要とされています。

事故に遭われた選手の1 日も早い回復をお祈りします。