（医）治恵会［北海道］が北見中央病院の事業停止、医療施設の存続に暗雲 “（医）治恵会［北海道］が北見中央病院の事業停止、医療施設の存続に暗雲”

北見中央病院の事業停止、そして破産へ

北見市を拠点に活動していた（医）治恵会が、運営していた北見中央病院の事業停止を発表し、今後は破産を申請する予定であることが明らかになりました。これにより、北見中央病院は長年にわたる歴史に幕を下ろすこととなります。

負債総額と医療法人の設立経緯

（医）治恵会の負債総額は6 億 5459 万円（2022 年 8 月期決算時点）であり、これが事業停止および破産の一因となりました。医療法人は1968 年に石川外科医院を開業し、1978 年には北見中央病院と改称していました。設立当初の目的は、北見中央病院とくんねっぷ治恵クリニックの経営です。病院は神経内科、内科、外科、整形外科、消化器内科、乳腺外科、禁煙外来の診療科目を取り扱い、40 床の病床を有していました。介護事業も行っており、2004 年 8 月期には売上高 19 億 2394 万円を計上するなど、一時は躍進を遂げていました。

減収傾向となった経緯

しかし、2012 年に介護事業を移管し、「くんねっぷ治恵クリニック」を閉院したことで売上高は減少し、2013 年 8 月期には9 億 1087 万円にまで落ち込みました。以降も診療体制の変化や施設の老朽化などがあり、減収の傾向が続いていました。さらに、コロナ禍の影響で年間売上高が4 億円台まで落ち込み、連続赤字が続いたため、2020 年 8 月期には債務超過となりました。2022 年 8 月期でも売上高は2 億 5480 万円にとどまり、2 億 308 万円の赤字を計上していました。

院長不在と外来患者減少による先行きの見通し不安

2022 年からは院長が不在となっており、さらに外来患者数の減少も重なって、（医）治恵会の先行きに不安が広がっていました。その結果、今回の措置で事業停止および破産という選択がなされたと考えられます。

破産後の影響と今後の展望

北見中央病院の事業停止および破産は、地域の医療提供に大きな影響を及ぼすものとなります。患者や地域住民にとっては、病院がなくなることによる医療へのアクセスの制約や、地域経済への影響が懸念されます。

医療提供の確保と地域の連携強化が喫緊の課題

このような事態には、他の医療機関や地域の関係者との連携が求められます。地域のニーズに適した医療提供を継続するためには、他の病院や診療所と連携し、医療の質と量を確保することが重要です。また、地域住民の意見やニーズを反映させながら、医療施設の再編成や新たな医療機関の設立など、地域の医療体制の再構築を図る必要もあります。

財政支援の必要性と持続可能な医療制度の構築

一方で、地域の医療機関が持続可能な運営を行うためには、財政支援や政策的なバックアップが必要不可欠です。特に地方の医療機関は資金繰りが厳しいと言われており、その課題を解決するためには、地方自治体や国の支援策が必要となります。持続可能な医療制度を構築するためには、これからの医療政策において地域医療への投資や支援が重要なポイントとなるでしょう。

患者の選択肢拡大と保健支援の充実が必要

また、患者の立場から考えると、自身や家族の健康を守るためには、多様な選択肢が必要です。地域において病院がなくなるなどの事態が生じた場合でも、患者が適切な医療を受けられるように、保健支援制度の充実が求められます。高齢者や子どもを含むすべての人々が、安心して医療を受けられる環境を整備することが重要です。

地域の特性を活かした新たな医療機関の育成

最後に、破産した病院の後継となる新たな医療機関の育成が求められます。地域の特性やニーズに合わせた施設やサービスの提供を行うことで、地域の医療体制の充実を図ることができます。地域の医師や医療従事者、行政、地域住民が一体となって新しい医療機関の誕生を支えることが必要です。