関東大震災から100 年目の劇映画『福田村事件』…「日本のメディアがゴミだと思うなら、それは社会もゴミだということ」ドキュメンタリー作家・森達也がそれでも日本に絶望しない理由
劇映画「福田村事件」より
オウム真理教を内部から映し出した『A』や、ゴーストライター問題を題材にした『FAKE』など、ドキュメンタリー作家として活躍してきた森達也が、初めて劇映画『福田村事件』を監督。関東大震災から5 日後の1923 年 9 月 6 日に、千葉県福田村で実際に起こった行商団 9 人の虐殺事件を題材とした映画の製作背景を聞いた。
“集団”と“個”はずっと描いてきた大きなテーマ
福田村事件が起きたのは、関東大震災発生から5 日後の1923 年 9 月 6 日。香川県から福田村(現在の千葉県野田市)にやってきた薬売りの行商団 9 人が朝鮮人と間違われ、自警団を含む100 人以上の村人たちに殺された事件です。森達也氏は、この事件に惹かれた理由について、「人は一人では生きていけないし、群れることを覚えたからこそこれほど繫栄したけれど、集団になったときの副作用もある」と述べています。
彼は大きなテーマとして、「集団」と「個」の相克を感じており、これまでの作品でもそのテーマを描いてきたと述べています。例えば、オウム真理教の信者たちを被写体にした『A』や『A2』、『FAKE』、『i-新聞記者ドキュメント-』などがその一環となっています。そして、『福田村事件』はそのテーマを集大成的に表現できたと語っています。
負の歴史を描く映画の不足
もうひとつ森達也氏が指摘するのは、日本社会全般が特に安倍政権以降、負の歴史を忘れようとする傾向が強くなっていることです。映画業界も同様であり、負の歴史を描いた劇映画はほとんど存在しないと言います。そこで彼は、映画業界の立場から、負の歴史を描かないとおかしいと感じたのだと述べています。
彼は例として、ドイツを含め多くの国がナチスやホロコーストについての映画を制作していることや、アメリカ映画の中にも黒人區別や先住民虐殺、ベトナム戦争などの負の歴史を描いた作品が存在すること、さらには韓国が光州事件をテーマにした『タクシー運転手』をエンタメ作品として結実させたことを挙げています。
劇映画としての選択
森達也氏によれば、『福田村事件』は劇映画として制作することを選んだ理由は、史実に基づく素材が非常に少ないからだとのことです。映画にするならフィクションとして作る必要があり、テレビ報道での特集なら10 分程度の範囲で取り上げることが可能かもしれないと述べています。
また、劇映画として製作する際には、史実に忠実に描かれている部分もある一方で、主要なキャラクターの設定や物語にはフィクションが盛り込まれています。これは作為的なものであり、史実をインスパイアして創作された映画だと解釈してほしいと述べています。
ドキュメンタリーと劇映画の違い
これまで森達也氏は、徹底的に当事者の視点でさまざまな事件を捉えてきたとされますが、今回の『福田村事件』では当事者ではない人物を主人公に選んだ理由について尋ねられます。彼は、これは劇映画であるためと説明しています。彼自身の視点が、劇映画の中で主人公である澤田智一や静子、倉蔵などになったと考えているようです。
報道は“視点”であり、信じるものではないとして、森達也氏はドキュメンタリー作家としての視点が劇映画『福田村事件』においては智一や静子、倉蔵などのキャラクターとなって表現されていると述べています。
<< photo by Alican Helik >>
この画像は説明のためのもので、実際の状況を正確に描写していません。
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